「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎 夏海(著)を通勤がてら読み進めていた。
あとから気づいたのだが,著者ははてな界隈では有名な方。宣伝文句や著書の中であえてそこに触れないのは作品単体としての価値に自信があるからか。
恥ずかしながら僕はドラッカーも良く知らなかった訳だが,読み始めて直ぐにアマゾンに探しに行ったコトは告白しておこう(そして在庫切れであった…)。この本は著者や表紙や妙に長いタイトルを気にしなくても十二分にオススメ出来る良作だと言えると思う。
内容は、とある理由で女子マネになった主人公が野球部を甲子園に連れて行くことを「決意」し,その助けとするドラッカーの「マネジメント」を適宜解説して行く,という流れ。
正直、導入部は文章が妙に簡潔でそっけなく(≒素人ぽく見え)、ドラマ部分も紋切り型,というかキャラ造形,展開が先読みできて、単なる解説書という印象でしかなかった。
が、本家「マネジメント」をまだ読んでいないので何とも言えないが,企業経営のバイブルとされる(??)「マネジメント」を高校野球の女子マネに当てはめる,という発想がそもそも卓越である。
「顧客」「組織の定義」「マーケティング」と言った,本来高校の部活動とは縁の無さそうな用語を主人公の活躍と共に具体化して行く。その翻訳作業を女の子が読者と同じ目線で進めていく点がドラッカーの解説書としての面目躍如たるところだろう。
やがて「マネジメント」の理解が深まり,効果が見えてくると物語自体も滑らかに動き出す。この相乗効果が狙ったものなのか分からないが,この辺まで来るともう「解説書」というよりは普通に物語を読んでいる感覚になれる。オチもなかなか気が効いていて,終わってみれば大満足の1冊だった。
さて,現実に戻ってこれを活かすにはどうしたら良いか。
自分個人,会社の部署,会社全体,そして更には業界全体まで。
僕は(少なくとも商業的な映像制作に関しては)私小説的な個人ではなく、集団,組織での制作を基としているので、組織の「マネジメント」という発想は(この本を読んだ今としては)不可避のものと捉えている。
しかし,ことアニメ業界というものはとかく集団戦が苦手で(それ故スーパーヒーローも現れやすい)、今でも現場では組織戦術の基礎的な概念も希薄である。ましてや「戦略」と呼べるものを明示出来るものがどれだけいるか。
が,一方ではこうした現状に異を唱え、組織的,効率的に制作を進めて最終的な「映像制作」をより良いものにしようという動きも勿論ある。僕も当然そうありたいと願っている。
そうした考え,即ち「集団を組織し,その集団の旨みを引き出して最大限の結果を引き出す」ことを意図する立場においては,この本は色々と参考にすべき点が多いと思う。
個人的に今年は,組織的「戦術」から「戦略」を意図していたので,そのスタートに当たってこの本に出会えたことは大きい。次は本家に手を伸ばしてみよう。アマゾンは再入荷を急がれたい。
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2010年1月17日日曜日
DOGU!!!
先日東京国立博物館にて「国宝 土偶展」を見てきました。
正直,行くまではそれ程乗り気という訳でもなく、友達が誘ってくれたのだから,まあ行ってみよう,位に考えていたのですが,これがあにはからんや,非常に面白い体験だったので簡単にご紹介を。
まず、お値段800円で土偶展+常設展も観覧可能。このご時世にあって非常にコストパフォーマンス高いです。ありがたや。
中に入ると土偶展は1部屋のみ。ちょっと規模が小さいかとも思ったのですが,所々にある解説も分かりやすく,不満に思うほどではないかと。
僕は日本史の勉強が基本的に中学で止まっているので(高校では日本史の授業がなかった…),縄文,土偶については全く無知と言ってよく,掲示されている解説一つ一つがとても新鮮でした。
・縄文時代が今から約16,500年前から約3,000年前くらいだったこと
・土偶の分布が時代によってかなり異なること
・土偶の使用例(一部が折り取られているもの,子供の骨が入っているもの)
・土偶の殆どが女性モチーフであること
などなど。
何故ここまで心動かされたのか不思議なのですが(DNAが騒ぐのでしょうか),何というか,そのバックグラウンドに圧倒された,という感じ。
我々の2000年紀を遥かに超えるスパンの中で,我々よりおそらくだいぶ短い寿命を生き,彼らは何を考え,これらの物々を作り,使ったのか。今から1万年後,我々が目にしているもので残っているものは何なのか。何てコトも考えてしまいました。
日本でこれらのものが作られていた時,世界はどのようであったのか。そんな視点があれば,更に面白かったのですが…それは自分で調べれば良いのでしょうか。
一方,常設展では様々なテーマで日本の芸術品が展示されています。
仏像,書画,鎧や刀剣…通してみると,日本の芸術において「仏教」が如何に大きな比重を占めているか実感。西洋においてもキリスト教の影響は至る所に見られますが,日本でも宗教の存在は避けて通れないものですね。
土偶についても,そこには宗教以前の何か、日々の暮らしとは別のものへと思いを馳せる「精神性」を感じます。
生きるだけであれば本来必要ないはずのその「何か」。僕はそこに惹かれます。出来ればそれを考え続け,そして少しでも近づきたい。
そんな思いの原点に触れるような体験でした。
自らの中に縄文の血を感じる人は是非。
(弥生系の方々にはピンと来ないものなのかもしれませんね^^)
正直,行くまではそれ程乗り気という訳でもなく、友達が誘ってくれたのだから,まあ行ってみよう,位に考えていたのですが,これがあにはからんや,非常に面白い体験だったので簡単にご紹介を。
まず、お値段800円で土偶展+常設展も観覧可能。このご時世にあって非常にコストパフォーマンス高いです。ありがたや。
中に入ると土偶展は1部屋のみ。ちょっと規模が小さいかとも思ったのですが,所々にある解説も分かりやすく,不満に思うほどではないかと。
僕は日本史の勉強が基本的に中学で止まっているので(高校では日本史の授業がなかった…),縄文,土偶については全く無知と言ってよく,掲示されている解説一つ一つがとても新鮮でした。
・縄文時代が今から約16,500年前から約3,000年前くらいだったこと
・土偶の分布が時代によってかなり異なること
・土偶の使用例(一部が折り取られているもの,子供の骨が入っているもの)
・土偶の殆どが女性モチーフであること
などなど。
何故ここまで心動かされたのか不思議なのですが(DNAが騒ぐのでしょうか),何というか,そのバックグラウンドに圧倒された,という感じ。
我々の2000年紀を遥かに超えるスパンの中で,我々よりおそらくだいぶ短い寿命を生き,彼らは何を考え,これらの物々を作り,使ったのか。今から1万年後,我々が目にしているもので残っているものは何なのか。何てコトも考えてしまいました。
日本でこれらのものが作られていた時,世界はどのようであったのか。そんな視点があれば,更に面白かったのですが…それは自分で調べれば良いのでしょうか。
一方,常設展では様々なテーマで日本の芸術品が展示されています。
仏像,書画,鎧や刀剣…通してみると,日本の芸術において「仏教」が如何に大きな比重を占めているか実感。西洋においてもキリスト教の影響は至る所に見られますが,日本でも宗教の存在は避けて通れないものですね。
土偶についても,そこには宗教以前の何か、日々の暮らしとは別のものへと思いを馳せる「精神性」を感じます。
生きるだけであれば本来必要ないはずのその「何か」。僕はそこに惹かれます。出来ればそれを考え続け,そして少しでも近づきたい。
そんな思いの原点に触れるような体験でした。
自らの中に縄文の血を感じる人は是非。
(弥生系の方々にはピンと来ないものなのかもしれませんね^^)
2010年1月7日木曜日
2010年1月4日月曜日
2009/12/31の4日後に
いつかどこかでこの文章を読んで下さる方へ。まずは、時候の挨拶として、明けましておめでとうございます。
今日は2010/01/01から数えて3日目の日、昨日の明日の今日です。
変な書き出しで恐縮ですが、三十路を超え、還暦の両親と久しぶりに会ってみると、時間が直線ではなく円弧を描いているようなイメージを抱いたのです。自分が今考え、為さんとしていることはかつて誰かが考えたこと、そしていつの日か誰かが為そうとすることなのではないかと。
願わくば、歴史のパースペクティブで見ればこれが只の円ではなく、螺旋運動として僕たちの日常から垂直に浮かび上がってくれることを。そして存在のゴールへ少しでも近づいてくれれば良い。
とりあえず現在の接点としての僕としては、今年も本を読み、考え、AfterEffectsやCINEMA4Dなんかを使って映像を作る仕事をしていきたい、そしてその時々の記録や記憶をここにまとめていきたいと思います。
一言でまとめると。
今年もどうぞよろしく。
今日は2010/01/01から数えて3日目の日、昨日の明日の今日です。
変な書き出しで恐縮ですが、三十路を超え、還暦の両親と久しぶりに会ってみると、時間が直線ではなく円弧を描いているようなイメージを抱いたのです。自分が今考え、為さんとしていることはかつて誰かが考えたこと、そしていつの日か誰かが為そうとすることなのではないかと。
願わくば、歴史のパースペクティブで見ればこれが只の円ではなく、螺旋運動として僕たちの日常から垂直に浮かび上がってくれることを。そして存在のゴールへ少しでも近づいてくれれば良い。
とりあえず現在の接点としての僕としては、今年も本を読み、考え、AfterEffectsやCINEMA4Dなんかを使って映像を作る仕事をしていきたい、そしてその時々の記録や記憶をここにまとめていきたいと思います。
一言でまとめると。
今年もどうぞよろしく。
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