初めてフルで撮影監督業務を担当した劇場版アニメが先日公開に。興行的にはずいぶんと順調のようでなにより(制作期間を考えると、費用対効果は抜群だね!)。
出来栄えは観客の子供たちに聞くとして、この折角の経験を「良き思い出」で終わらせるのは勿体無い。今後の自分、どこかの誰かのために少しでも糧になれれば、ということで思いつく限りまとめてみることにした。
(この時期になったのは僕の余りの筆不精っぷりと、あと何だかんだで公開されてからの方が良いのかなあ、というチキンハートのせいです)
どこかの誰かのためにも、という発想が産まれたのにはもう一つ理由があって、上記の作業が一通り終わった絶妙のタイミングで、アニメ撮影業界の飲み会(と称した大プレゼン大会)に声を掛けて頂いたことが大きい。
発起人Terraon氏の溢れんばかりのバイタリティと自由な発想力、先輩たちの(技術は勿論)意識の高さなど非常に衝撃的経験だった。それはもう、同業者を名乗ってよいのか半分本気で不安になった程に…
そこで(深夜3時の二次会の席で)大先輩から言われて、現在僕のさまざまな行動上の指針となっているのが、
「表現には『指向性』があり、(ただ漠然と表現するのではなくて)それをもっと突き詰めないといけない(アルコール分を飛ばして意訳)」
ということ。
メインの映像制作においても勿論そうだし、先日のようなプレゼンも然り。ブログやtwitterといったツールによる表現にも当てはまるだろう。このブログは現状アニメ撮影における技術的な傾向が強いので(本当はもっと色気のあるネタも書いてみたいところだけれど)、見て頂ける方もその手の人達、と勝手に想定している。そんな人達にとって何かしらの参考になれば本望だ。
* * *
ちなみに、アニメの制作過程をご存じない方向けに簡単に説明すると、ここで言うアニメの「撮影」とは、様々な現場で制作された「アニメの画面を構成する素材(=キャラクターの絵、背景の絵、etc)」をコンピューターを使って1つに合成する工程を指す。
「撮影」というカメラ用語(?)をいまだに使うのは昔、絵を描いたセルロイドを重ねたものを実際にカメラで撮影していた時代の名残である。
この「撮影」という言葉から良くも悪くも逃れられないところに現在のアニメ撮影業界の問題が潜んでいると思うのだが、それはまた別の話。
今回僕が担当したのはこの撮影というセクションを統括する「撮影監督」という部分。
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閑話休題。
以下、「アニメ撮影」という部署に於いて便宜的にワークフロー管理などの「制作的側面」と撮影の主眼である「映像表現的側面」に分けて、それぞれの要点をまとめてみた。
■1:制作的側面
・管理の効率化、自動化はもはや必須事項(例えばExcelの利用)
・部署内での効率化では効果は限定的、制作全般に渡るシステム構築が理想
・ツールのプロトタイプ化(?)により作業者各人が能動的に制作システムに参加できるようにする
・制作管理と映像管理の分立
・コミュニケーションの重要性
・各工程における到達点をそれぞれの段階の作業者に明示しておく
・思考停止の防止(何を考え、何を自動化するか⇒システム構築者の「アニメ撮影への思想」を反映)
■2:映像表現的側面
・素材か、作品か
・インプットとアウトプット
長くなりそうなので、詳しいことは次回説明していきたい。
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